調査と根拠

競合調査の計画を、情報を集める前に1枚にまとめる

判断、調査対象、認める情報源の順位、鮮度の基準、出典の記録項目を集める前に決める方法。Claudeのリサーチ機能での進め方と確認手順も解説します。

Steve最終更新

競合調査の計画とは、情報を集める前に書く1枚の文書です。調査が支える判断、対象とする企業、認める情報源とその順位、事実の許容できる古さ、出典の記録方法を決めます。一度書いてClaudeのプロジェクトに保存し、同じ市場の調査では毎回その計画から始めてください。

日本語の解説記事では、競合調査を「仮説を立ててから調べる」形で説明することが多くあります。この記事は「判断を先に決める」形で書いていますが、集める前に範囲を決めるという役割は同じです。英語圏の解説、たとえばAakash Gupta氏の競合分析テンプレート(英語)やRivalBeamのPMM向け競合調査チェックリスト(英語)は、何を追うか、どのくらいの頻度で見直すかまでは書いています。事実の出典をどう記録するか、いつ古すぎるとみなすかは、どちらにも書かれていません(2026年9月14日確認)。営業や役員から「誰がいつ言ったのか」と聞かれたときに答えられるかは、この2つの取り決めで決まります。

判断と担当者を決める

まず判断を1文で書きます。「中堅企業向けの商談で、Acmeに対して価格を前面に出すべきか」なら、調査の終わりが見えます。「Acmeの動きを追う」では終わりません。その判断を下す人と、必要な期日も添えてください。

依頼があいまいなら、調べ始める前に依頼者に確認します。答えによって何が変わるか、どの市場やセグメントの話か、どんな成果物を想定しているかの3点です。問いの絞り込みにはClaudeが役立ちます。あいまいな依頼文を渡し、候補となる判断を2、3個と、それぞれに必要な根拠を挙げてもらい、依頼者と一緒に1つに絞ります。

参考:あいまいな依頼と、範囲を決めた依頼(架空の競合を使った例)

あいまい範囲を決めた
問いAcmeの価格を調べる50〜200席の国内企業向けで、自社のTeamプランがAcmeの同等プランより高いかを判断する
担当者と期日マーケティング営業責任者、10月3日の価格見直し会議まで
必要な根拠価格に関する情報なら何でもAcmeの公開価格と席数の区分、直近四半期に営業が報告した値引き
完了の条件なし各数値に出典と日付を付けた1枚の比較表

調査対象を列挙し、そこで止める

自社製品と、その判断に必要な競合だけを挙げます。検索で出てくるが今回は無視する名前、たとえば隣接領域のベンダー、パートナー、アナリスト資料にしか出ない企業も、除外リストとして短く書いておきます。競合の選び方に迷う場合は、競合の特定の記事を参照してください。

対象を絞ると、利用量を管理しやすくなります。Anthropicのリサーチ機能ガイド(英語)(2026年9月14日確認)によると、リサーチ機能は1回で多数の情報源を取得するため、通常の会話より利用上限を早く使い切ることがあります。実際の利用上限や作業時間に近づいたら、市場全体に広げず、対象企業をさらに絞ってください。

認める情報源を決め、順位を付ける

認める情報源の種類を列挙し、この判断に対する信頼度の順に並べます。標準的な分け方は4種類です。

  1. 競合自身が公開している資料:価格ページ、ドキュメント、リリースノート、求人情報
  2. 第三者の資料:レビューサイト、ニュース、アナリストの資料、コミュニティの投稿
  3. 自社の内部資料:過去の調査、営業向け資料、サポートの記録
  4. 現場の情報:商談や失注の記録で営業や顧客が述べたこと

順位は主張の種類で変わります。「Acmeの価格はいくらか」なら、競合自身の価格ページが営業の記憶にある値引きより優先されます。「なぜAcmeに負けたのか」なら、現場の情報が競合のWebサイトより優先されます。種類ごとに順位が違うなら、それぞれ書いてください。情報源として数える条件も書きます。URLまたは文書名、目に見える日付、どの製品とプランの話か分かる文脈の3つです。検索結果の抜粋は手がかりであり、ページを開いてから根拠に数えます。ベンダーが選んで掲載した導入事例は、ベンダーの主張として扱います。

主張の種類ごとに鮮度の基準を書く

古いかどうかを読むたびに感覚で決めず、基準を文章にします。価格やパッケージは経営陣や資金調達より早く変わるため、主張の種類ごとに別の基準を置き、基準より古い事実は再確認するまで未確認として扱います。市場に合わせて調整する前提の目安です。

  • 価格、パッケージ、値引き:3か月
  • 製品の機能と連携:6か月
  • ポジショニングとメッセージ:6か月
  • 資金調達、経営陣、従業員数:12か月

基準を過ぎた事実は削除せず、元の日付を残したまま「要再確認」と記録します。次回の調査で何から確認するかが分かります。新しい情報源と古い情報源が食い違うときの扱いは、調査結果が食い違うときの記事で説明しています。

出典の記録項目を決める

集めた事実に必ず付ける項目を、最初の1件を集める前に決めます。最低限の項目は次のとおりです。

  • 出典:再度開けるだけ具体的なURLまたは文書名
  • 情報源の種類:競合自身の資料、第三者、内部資料、現場の情報のいずれか
  • 情報源に記載された日付と、自分が確認した日付。両方とも必要です
  • 範囲:どの製品、プラン、地域、セグメントについての事実か
  • 情報源の言語と、訳した内容をその言語を母語とする人が確認したかどうか
  • 収集者と状態:確認済み、未確認、要再確認、廃止のいずれか

言語の項目は、海外の情報源を扱うときに効いてきます。英語の価格ページをClaudeの訳で読んだ内容は、その言語を母語とする人がプラン名、税の扱い、席数の定義を確認するまで手がかりにとどめます。原文を訳文の隣に残し、バトルカードに載せる前に確認を済ませてください。日本語の情報源から英語の資料を作るときも同じです。言語をまたぐ主張に対する当社の推奨です。この確認を代わりに行うツールはありません。国内の情報源の探し方は、日本市場の競合情報源の記事で扱っています。

項目が決まれば、事実は1件ずつ行として残せます。行の残し方と廃止の仕方は、主張の台帳の記事で説明しています。

計画の範囲内で調査を実行する

収集は、プロジェクトの設定の記事のとおりに用意したClaudeのプロジェクトで進め、計画はナレッジのファイルとして保存しておきます。収集の段階でリサーチ機能を有効にします。Anthropicのリサーチ機能ガイド(英語)(2026年9月14日確認)によると、リサーチ機能は有料プラン(Pro、Max、Team、Enterprise)で利用でき、Web検索が有効になっている必要があり、チャットの「+」メニューから開始します。無料プランでは、同じ範囲で自分でWeb検索を行い、見つけた内容をチャットに貼り付けて進めます。

リサーチ機能には、範囲を決めた依頼を渡します。使い回せる形は次のとおりです。

プロンプト:範囲を決めた調査依頼

このプロジェクトの research-plan.md に従ってください。
判断:[1文]。対象企業:[企業名]。除外:[除外リスト]。
この判断を支持または否定する主張だけを集めてください。
各主張について、出典URL、情報源の種類、情報源の日付、
対象の製品とプラン、該当箇所の原文を返してください。
種類ごとの鮮度の基準より古い主張には印を付けてください。
出典が見つからない主張は、埋めずに「未確認」として報告してください。

返ってきた引用は、使う前にすべて開きます。ページに今も同じ記載があるか、日付が見えるか、製品とプランが計画の範囲と合っているかを確認してください。開ける出典がない主張は成果物に入れません。確認の手順はAIの調査結果を検証するの記事で詳しく扱っています。

計画を保存し、次回も使う

計画はresearch-plan.mdとして、競合ごとのファイルの隣にプロジェクトのナレッジへ保存し、担当者と確認日を添えます。以降の調査では、最初のメッセージでこの計画に従うよう伝えてください。Claudeが前提として覚えているとは限りません。

判断が変わったとき、競合が増減したとき、鮮度の基準が実務に合わなかったときに計画を見直します。ファイルを直したら、そのファイルを使っている各プロジェクトの写しも差し替えてください。

自分がいなくても計画を守らせたいとき

ここまでの方法は、1人が毎回冒頭で決まりを伝え直し、日付を手で確かめることで成り立っています。その人が手作業の確認を続けられる間だけ成り立つ運用です。同じ市場を複数人で調べる、バトルカードを毎週作り直す、先月どの価格情報が基準を過ぎたか誰も覚えていない、といった状況になると崩れます。

Steveのプロジェクト設定では、Insightsの回答に使う情報源の優先順位(Source Priorities)をチームが設定できます。プロジェクトごとに4種類の情報源(内部資料、競合自身の資料、現場のCI、第三者の情報)を、チームが選んだ順位で並べられます。

判断と競合の範囲は、この記事の計画のとおり担当者が決めます。Steveはその部分を代わりません。Steveの情報源の順位付けを現在の方法と比べる場合は、Steveの競合リサーチを起点にし、利用する環境で提供されるか確認してください。

よくある質問

競合調査の計画には何を書きますか?

書くのは5つです。調査が支える判断、対象とする企業、認める情報源の種類とその順位、主張の種類ごとの鮮度の基準、そして各事実に必ず付ける出典項目です。1枚で足り、同じ市場の調査では毎回この計画を使い回します。

競合の情報はどのくらい新しければよいですか?

主張の種類ごとに基準を決めます。価格は会社の沿革より早く変わるためです。目安として、3か月より古い価格情報と6か月より古い機能情報は、再確認するまで未確認として扱います。基準は計画に書き、次回も同じ基準を使います。

Claudeのリサーチ機能を使えば、自分で出典を開かなくてもよいですか?

いいえ。リサーチ機能は引用付きで結果を返しますが、使う前に各出典を自分で開いて確認します。有料プランとWeb検索の有効化が必要です。開けない資料、たとえば会員限定のページや自社の商談メモは、プロジェクトに別途アップロードします。

英語の情報源を使うときに気を付けることはありますか?

出典の言語を記録し、訳した主張を営業資料に載せる前に、その言語を母語とする人に確認してもらいます。プラン名や課金単位の訳し違いは、資料に入ってからでは見つけにくいためです。これは当社の推奨で、代行するツールはありません。

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