プロダクトマーケティング

調査チームがなくても始められる受注・失注分析

受注・失注分析に調査部門は要りません。5つの質問と、誰が聞くかのルール、そして結果が使われ続ける置き場所があれば足ります。

Steve最終更新
Steveの受注・失注アンケート要約(サンプルデータ)。三人の買い手が挙げた失注要因と、その元になったインタビュー。Steve

受注・失注分析は「調査プロジェクト」だと思われているため、多くのチームが着手できていません。実際には、案件に関与していない人が、意思決定から2週間以内に、5つの質問を聞くだけです。

この記事の要点

  • 質問は5つで十分です。30問のアンケートは最後まで回答されません。
  • 失注した案件の担当者がインタビューを行ってはいけません。
  • 買い手が筋書きを整える前、2週間以内に聞きます。
  • CRMの失注理由は営業担当の認識であり、それを検証するのがこの取り組みです。
  • 得られた示唆はバトルカードに反映します。反映しなければ、ただの読み物で終わります。

8〜12

四半期あたりの件数

20分

1件あたりの所要時間

2週間以内

依頼のタイミング

5

質問数

5つの質問

  1. いつ決めましたか

    ほぼ必ず、営業担当が思っているより早い時期です。この答えが、以降のすべての前提を変えます。

  2. ほかに誰が関わっていましたか

    実際の意思決定メンバーが分かります。CRMにはたいてい載っていません。

  3. 何と比較しましたか

    「何もしない」「表計算ソフト」という回答も含みます。この2つは頻出しますが、競合フィールドには現れません。

  4. あと少しで判断が変わったのは何ですか

    最も有用な質問です。あと一歩で効いた論点が浮かび上がります。

  5. 当社は何をすべきだったと思いますか

    最後に聞きます。最初に聞くと、経緯ではなく機能要望が返ってきます。

誰が聞くか

営業担当は不適任です。これは誠実さの問題ではありません。買い手は、自分が断った相手に断った理由を話しませんし、営業担当の側も「価格ページが分かりにくかった」という指摘を、価格ページを弁護せずに聞くことは困難です。

得られた示唆をどこに置くか

一度読まれて終わる報告書は、取り組みではなく記事です。営業がすでに見ている場所、つまりバトルカードに落とし込む必要があります。

分かったこと報告書バトルカード
「比較対象は表計算ソフトだった」6ページ目新規カード:現状維持への対応
「セキュリティ審査で止まった」9ページ目日付入りの根拠として追記
「初週で決めていた」3ページ目カードではなくヒアリング項目へ
人を増やさずに続ける

四半期ごとの進め方

  • 直近90日の受注・失注案件を抽出する
  • 8件を選ぶ。半分は受注案件にする(失注だけでは事後検証の場になる)
  • 商談に出ていない人の名前で、2文の依頼を送る
  • 20分・5問・許諾を得たうえで録音する
  • 傾向を1ページにまとめ、そこから導かれるバトルカードの修正まで行う

分かること

  • 商談に実際に入っていた競合
  • 意思決定が下された本当の時期
  • あと一歩で効いた論点
  • 社内の誰もまだ聞いていない反論

分からないこと

  • 市場規模
  • 統計的な有意性
  • そもそも接点のないセグメントに無視される理由

よくある質問

何件インタビューすれば意味のある結果になりますか。

四半期あたり8〜12件で傾向が見えます。5件未満は事例の寄せ集めにとどまり、20件を超えると調査業務そのものになり、別の仕事になります。

失注した案件の担当者がインタビューしてもよいですか。

避けてください。買い手は、自分が断った相手に断った理由を話しません。一歩離れた人が聞くと、答えの中身が明確に変わります。

意思決定からどのくらいで聞くべきですか。

2週間以内です。1か月経つと、買い手の記憶は実際よりも整理された筋書きに書き換わっています。

CRMの失注理由フィールドで代用できますか。

できません。失注理由フィールドに記録されるのは営業担当の認識であり、それが正しいかを確かめることが受注・失注分析の目的だからです。

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